10/14『やんてらの企画’16 聴こえるスペースvol.8』池間由布子+不破大輔@八丁堀七針

f:id:yanterapunk:20161021154614j:plain

f:id:yanterapunk:20161021155015j:plain

2016/10/14『やんてらの企画’16 聴こえるスペースvol.8』池間由布子+不破大輔@八丁堀七針、もろもろありがとうございました。

自分の企画では、不破さんはうたの人との共演で主に出演して貰っていて、今まで、イーヨさん、三村京子さん、テニスコーツ、不破さんと川下直広さん,岡村太さん,山口コーイチさんとのカルテットで見汐麻衣さんと共演して頂いた。池間さんは、2013年10月に合羽橋なってるハウスにて、松倉如子と熊坂るつこのデュオとの対バンで出て頂きました。それ以来、池間さんもよく演奏する機会が多くなり、2人とも同じ場所で演奏している共通点がうまれて、ここはそろそろ共演も見たいなと思っていたところでした。

とはいえ、何度か同じ場所にいて、例えば渋さ知らズテニスコーツの共演時に不破さんに池間由布子さんを紹介する機会もあったものの、ちゃんとした顔合わせも出来ず。そのうえ丁度不破さんのツアーの重なり、挨拶の機会を設けられたのも2日前でした。

リハーサルは当日のみで、選曲も池間さんの「エクスキューズ、ミイ」「しゅあろあろ」の2枚を中心に、新曲やカバーを織り交ぜた選曲となりました。

ここまでの流れからしたら、なってるハウスでするべきなのだろうけど、ちょっと定石は外したいなと思いまして、八丁堀の七針で行うことにしました。それとなるべくうたのライヴはマイクは立てずに生音で聴きたいというのもあって、コントラバスのモニターとコンデンサーマイクを立てて、なるべく生音重視のライヴとなりました。

 

不破さんのコントラバスのチューニングする音がより雰囲気を醸し出しつつ始まります。冒頭は「雨がやんで」、池間さんの天真爛漫さを感じさせる歌声に曲とコントラバスの小気味よさがとても心地よい。池間さんからさっそく、不破さんの好きな曲はなんですか?の問いに、この曲は好きですと「アナグマ」へ。さらに声の余韻が伝わって来て、音が染みわたるよう。さらに池間さんから、不破さんのアドリブを聞かせてください、と促しつつ、「ハンバーグ」を演奏。アドリブを含んだ歌詞がとても面白いことになっていて、フワフワのパンケーキがふわふわさんになったり、不破さんとふわふわしませんか~?と歌ってみせたり。突然振ってみて、2人でふわふわ声を出しあって、笑いに包まれつつ、なんて素敵な光景なんだろうか。続いて、しっとりと「なんとなく 生きていては」。先ほどとは変わって、池間さんと不破さんと2人でしみじみと歌う場面も。ここではじっくりとうたをきかせていて、先ほどの喧騒とは違う雰囲気で、これまた染みます。続く「ぜんぶウソみたい」も同様で、さらに情景描写がより具体的な歌詞と相まって、とても渋く決まっておりました。「外人ハウス」では普段と違った間延びした歌いだしで、池間さんの大胆不敵さがより端的に現れていたのが、企画者としてはとても嬉しかった。奇妙な不穏な雰囲気に引きずり込まれる感じが際立ってました。

休憩を挟んで、演奏前に池間さんが不破さんに、どの季節が好きですか?という話から「せんべい」。そんな話の内容も歌詞に盛り込みつつ、客席に「せんべい」のレスポンスを促したりで。会場に一体感が生まれたかな?「明るい窓」は、入りが決まらずにいると、池間さんから(リハの)初めにやったのに・・・とピシャリ。そんなやりとりもありつつ、うらぶれた雰囲気の曲調がコントラバスの音色が絶妙でした。続く「喫茶のてん」、穏やかに移り行く曲調から、加速していく後半でのアコギとうねりだす低音の音の絡みに、池間さんの裏返りそうな歌いっぷりがまたたまらなくよかった。そして佳境に。浅川マキさんの「少年」のカバー、この曲は不破さんも1年に1回くらい歌っていて、実は池間さんも歌っていたとのこと。ここでは池間さんがギターを置いて立ち上がり、不破さんのコントラバスのみの伴奏。池間さんのうたがよりじっくり伝わってきて、終わりに池間さんと不破さんの2人での口笛の合奏で、これまた素敵な雰囲気だった。再びギターを手に「知られない季節」。ここにきての開放的な曲調がとても心地よい。曲間を空けずそのまま、「ひこうき」への流れ。渋さ知らズでお馴染みの曲。自分の企画でも不破さんとの共演ではイーヨさん・テニスコーツ・見汐麻衣さんにもうたって頂いている曲。ここにきてようやく、この展開は阿吽の呼吸だったなぁ。見事に池間さんのうたになっていた。めちゃくちゃ染み渡った。ここで本編終了。

アンコールでは、リハではやっていない、あなた山から歌いだす曲。不破さんの名前も出てくる詞が、身も蓋もない感じで面白い。客席のコーラスもあいまって、会場一体を巻き込んで大団円な素敵な締め。

つい印象に残ったのは、池間さんが不破さんをじっと見つめながら歌い、不破さんが笑いつつもおどけて顔を背けて、さらに見つめて、さらに背けつつ演奏が続いていくというやり取り、めちゃ面白かったんですけど。

池間さんと不破さんとのやり取りに笑いに溢れつつも、静寂の緊張感もあり、うたをじっくり聴かせての素晴らしさでした。

 

 

1、雨はやんで

2、アナグマ

3、ハンバーグ

4、なんとなく 生きていては

5、ぜんぶウソみたい

6、外人ハウス

(休憩)

7、せんべい

8、明るい窓

9、喫茶のてん

10、少年(浅川マキのカバー)

11、知られない季節

12、ひこうき

アンコール、山の男? 

 

 

 

 

f:id:yanterapunk:20161021155038j:plain

f:id:yanterapunk:20161021155052j:plain

9/14 『やんてらの企画’16 聴こえるスペースvol.7』穂高亜希子/大友良英@渋谷公園通りクラシックス

f:id:yanterapunk:20161011022846j:plain

f:id:yanterapunk:20161011022948j:plain

2016/9/14『やんてらの企画’16 聴こえるスペースvol.7』穂高亜希子大友良英@渋谷公園通りクラシックス、ご来場もろもろありがとうございました。

穂高さんと大友さんは、大友さんのラジオに穂高さんがゲスト出演したり、ライブに飛び入りしたりなど、以前から何度か交流があって、もう何年も2人からいつか一緒に出来たらいいよねと聞いていたので、いつかとか言ってたらもう初老だよ!という思いもあって、今回企画するに至りました。もちろん、穂高亜希子さんは、今までアコーディオン奏者の熊坂るつこさんとの共演、sakanaとの対バン、「みずいろ」レコ発ライヴ、熊坂るつこさんとのツアー、そこでの頭士奈生樹さんや半野田拓さんの共演も含めて、様々に企画してきて、あとは何が出来るだろうかと考えたところ、大友さんとの共演しかないという思いもありました。

構成は、まずは大友さんのソロ、穂高さんのソロ、そして大友さんと穂高さんの共演。

大友さんはエレキ2本アコギ1本持参でしたが、まずはアコースティックギターでの演奏。聞こえてきたのは「見上げてごらん夜の星を」のメロディー。とても優しい音色で響いてきました。徐々に熱量が帯びて来るところもあったけど、終始音色の美しさが際立っておりました。もう2曲、リリカルなメロディーを奏でていて、何とも染みます。さてここ公園通りクラシックスは、その昔ジャンジャンというライヴスペースというか前衛小劇場というか、そんな場所だったところ。そこに出演されていた永六輔さんとの話や高柳昌行さんとの話など聞かせてくれました。そして「blue」、「街の灯」、穏やかな旋律から、後半は轟音を重ねつつ、そんな中でのアコギの音色がまたたまらなかった。大友さんのここまでのアコースティックギターでのソロ演奏はとても久し振りだったんじゃないかな。思いがけず、素晴らしかった。

ちなみにだいたい持ち時間45分とお伝えしたところ、なんとぴったし!さすが!

休憩を挟んで、穂高さんのソロ。まずはアコギでの弾き語り。歌いだしがあまり声が出し切れてないかなと不安にもなりましたが、2曲目での「緑」から声がしっかり出て来て、意志がはっきりと伝わってくる演奏だったんじゃないかな。途中から、ピアノの弾き語りに。グランドピアノでの演奏も久し振りかな。「静かな空」、穂高さんのピアノソロは、正直無茶苦茶なところもあるし感情の垂れ流しと言えばそう言ってしまうところだけど、とても迫りくるものがある。続いての、熊坂るつこの「悲しみ」、事の経緯を踏まえれば、ここで聴けたのはとても嬉しかった。穂高さんの選曲は実はアルバムには未収録の新曲が殆どで、ここでの新曲は穂高さんの最も歌い込められる曲なのかな、ここでのピアノソロも引き込まれるものがあった。そして、なんと穂高さんのソロの締めも「blue」。ミスも多かったけど、伝わるものはあったね。

そのまま、穂高さんと大友さんの共演へ。穂高さんはここでエレキベースに持ち替えて、大友さんがエレキに持ち替えて、そして大友さんが歌う加川良さんの「教訓Ⅰ」。大友さんがこの曲を歌うのは何度も見たことがあって、そういえば穂高さんと石橋英子さんのライヴを見終わった後に、なんか阿佐ヶ谷のrojiで大友さんとU-zhaanが演奏をするという情報を掴んで終電を蹴って見に行った時も歌っていたなぁと思い出してました。それにしても大友さんの歌いっぷり、とても味があってよかったなぁ。そこに穂高さんのエレベと大友さん自身のエレキが轟音を響かせ、素晴らしかった。続いて、大友さんの「カナリア」、穂高さんが歌い、これがとても絶妙で、確かに穂高さんのうたになっていた。後半の大友さんの高らかに音を奏でていたギターソロ、これまたたまらなかった。ここで再び永六輔さん絡みで「上を向いて歩こう」、交互のヴォーカルをとって、2人でうたっていて、とても微笑ましい雰囲気。穂高さんはアコギの持ち替え、「恋をした男の子」「夢のように」、大友さんの空間を彩る音色で、穂高さんの歌がより活きていたな。締めは「いつか」、終盤は音に満ち溢れていきました。もう圧巻だった。少し間を置いて、アンコール。なんとここで3度目の「blue」。大友さんはエレキで、穂高さんはエレベ。それぞれの「blue」を経て、さらに飛び越えた感じで、何だか感極まる感じがありました。この流れはとてもよかったんじゃないかな。

終わってみれば、23時近く。2人の音を十二分に感じられるライヴで、特に、大友さんと穂高さんの2人の共演の相性は抜群で、もちろん大友さんが穂高さんに合わせたところはあるだろうけど、激しさだったり無骨さだったり、そんな滲み出てしまうところがとても合っていた。次はいつになるか分からないのだけど、また2人の共演はあると確信出来るほどの素晴らしさだった。